
先日取引先の会社に入社する外国人の方の、就労ビザ申請を行いました。
会社としては初めてのビザ申請でしたが、無事に審査を通過することができました。初めて申請する場合は不慣れなことも多いですが、一度流れを把握してしまえば2回目以降はスムーズにできると思います。
これから初めて外国人を雇用しようとしている方々のために、採用から入社後の雇用管理まで、どのようなことを行えばよいのか、簡単に流れをまとめていますので参考にしていただければと思います。
目次
ビザ取得の流れ
ビザの申請は「採用担当者が申請する」「行政書士が代理で申請する」方法の2つがあります。
語学学校のように、外国人の受け入れが年間数百人となるような学校法人は、ビザを管理・申請する担当者を雇用しています。一方、年に数人から数十人程度の申請であれば、行政書士に代理で申請してもらうことが多いようです。
個人で入力管理局へ直接申請する方法もありましたが、今回は行政書士事務所を通して行いました。
就労ビザの申請前に、採用する外国人が「日本在住である」のか「海外から呼び寄せる」かで申請前の書類の準備などの流れが変わってきます。
日本国内在住の外国人を採用するときの流れ
- 在留資格の確認
- 労働契約の締結 (労働条件の相互確認)
- 就労ビザ申請
- 受入準備
- 雇用開始 (入社後の手続等)
海外在住の外国人を呼び寄せて採用するときの流れ
- 就労ビザ取得が可能かどうか事前調査で確認する。
- 労働契約の締結 (労働条件の相互確認)
- 就労ビザ申請
- 受入準備
- 雇用開始 (入社後の手続等)
就労ビザの申請が終わるまでには、企業によって審査通過までの時間が前後します。過去に何人か外国人の受け入れをしている企業であれば、申請完了までの時間が短いようです(早くて1週間〜2週間)。通常は1 ヶ月程度で在留資格取得証明書が発行されます。日本政府から OK が出た証拠書類となります。また申請する時期によっても、取得できるまでの時間は異なってきます。入局管理局の繁忙期である2〜4月に申請する場合は、発行されるまでに2〜3ヶ月かかることもあるそうです。
必要書類

- 在留カード情報(日本国内在住の外国人を採用するときのみ必要です)
- 在留カード画像(日本国内在住の外国人を採用するときのみ必要です)
- パスポート情報
- パスポート画像
- 労働条件通知書(雇用主と雇用者のサインのしたもの)
- 履歴書
- 卒業証明書(あれば)
- 成績証明書(あれば)
既に日本国内にいる外国人を採用するときは「在留資格カード」の情報が必要です。
海外にいる方を呼び寄せて採用するときはまだ在留カードがないので、必要ありません。
それぞれ共通している部分が多いです。海外にいる方の資料はわざわざ取り寄せる必要はなく、インターネットでデータを共有したもののコピーの使用で問題ありません。
VISA取得・申請の金額
個人(採用担当者)で入局管理局に直接申請する場合
就労資格証明書の交付を受けるときの手数料として「900円」必要です。
http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/16-9.html
行政書士に代理でお願いする場合
6〜10万円くらいが相場です。ビザの取得難易度によって金額が前後したり、行政書士さんの方で取得が難しいと判断した場合、受付してもらえないこともあります。
ビザの取得難易度は、「ビザの種類」と「採用する会社の事業内容・業務内容」によって判断されることが多いです。例えば外国人のソフトウェアエンジニアのような高度人材の場合は、ビザの種類のみで考えた場合には国の推奨している政策と一致しやすいため比較的通り易いそうです。
その他には、採用者の職歴や学歴も関係してきます。
エンジニアとして採用する場合、大学でコンピューターサイエンスを専攻していたなら問題ありませんが、専攻が法律などで業務内容と関係ない場合は、職歴で何年間かはエンジニアとして働いていた実績がないと、業務との関係性が低いと判断され、審査が通らない場合もあるそうです。
もちろん採用者本人だけの問題だけでなく、採用する会社が八百屋さんを経営しているのに、エンジニアを採用したい場合は、事業内容と採用者との相関関係が低いため審査に通らないこともあるそうです。
在留資格取得証明書が取得できたら
入局管理局から在留資格取得証明書を受け取ったら、それぞれ以下の手順に進みます。
すでに日本在住している外国人の場合
住居の手配や日本人と同じ会社との雇用契約へと進みます。
海外在住の外国人の方を呼び寄せる場合
採用者の居住国で以下の手続きが必要になります。
- 在留資格取得証明書を郵送します(国にもよりますが届くまでに、1 週間程度でしょうか)。EMS か OCS で郵送しましょう。
- 雇用者は受け取った在留資格取得証明書とその他の必要書類を持って、自国の日本大使館へビザ申請を行います。
- 申請が終わったら晴れてビザの取得です。(パスポートにシールが貼られます)
雇用者が用意する必要書類はこちら
- アプリケーションフォーム(身元保証人(会社の代表者)など日本側の情報も必要)
- 有効期限内のパスポート
- 過去のパスポート(もしあれば)
- 証明写真 2 枚
- 在留資格証明書
- 履歴書(英語・日本語)
- 雇用契約書(英語・日本語)
- 大学の卒業証明書
- 大学の成績証明書(フライト情報) ※支払い完了していなくても、予約や予定で良い
住居・不動産の手配
外国人の就労者を雇用する上で、1つの壁となっているのが住居です。近年、外国人就労者の増加に伴い賃貸の審査も厳しくなっています。職業ではなく、国で判断される場合もあるそうです。特に日本にこれからくる外国人就労者の場合は、難易度が高いことでしょう。
これらを解決するために、会社の寮として契約し、寮を用意する企業が多いです。会社名義での契約は、外国人が賃貸するよりも比較的簡単にできます。また家具家電を用意するにも費用がかかるため、シェアハウスを一つの選択肢として、雇用する方に提示してみるのも良いかもしれません。
ビザ申請の手間を減らすために
ビザの申請や管理は、企業にとっても、雇用者にとっても手間のかかるものです。コストを少しでも減らすために、ビザの申請フローを簡潔にする「ONE VISA」というWEBサービスもあります。